風前の灯火

個人的な沢登りの記録

万太郎谷オタキノ沢 2023/8/5

4人パーティ

遡行グレード 3級

晴れ

6:35吾策新道駐車場~6:55入渓~8:00関越トンネル換気口~10:30一ノ滝~11:50オタキノ沢出合~12:10トイ状20m滝~14:40コロッセオ50m滝~17:00茂倉新道~18:55茂倉新道登山口~19:30駐車場

 

※かなり遊びながら遡行していたので上記タイムは参考にしないでください。真面目に歩けば全体で8~9時間くらいだと思います。

 

3回目の万太郎だが、吾策新道の駐車場にはいつもスムーズに辿り着けない。今回も少し道を間違えたりして深夜2時頃到着。外は丁度良い涼しさで虫も意外といなかったので、シュラフカバー1枚でゴロ寝とキメ込んだ。

 

朝6時半。快晴である。意気揚々と出発。お馴染みのビーバー堰堤から入渓。昨年大雨で万太郎が埋まったと聞いていたが、どうだろう。確かに少し浅くなったような、水が減ったような気がするような、しないような。

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だがしかし相変わらず美しい渓である。最初こそ少しグシャグシャしているが、少し進むと白い岩盤が目立つようになり、気分も盛り上がってくる。何と言ってもこの青空よ。年に1回あるかないかの良い天気だ。

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しばらくは歩くのみだが、やがて最初の大きな滝が現れる。5年前に本谷を遡行したときはもっと釜が深く、足が付かなくてツルツルの岩に這い上がるのに苦労した滝だが、今は見事に埋まり果て、歩いて楽々である。なんとも残念な様相。左の岩を登りサクッと通過。

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オキドウキョウのゴルジュは最後の滝まで突破を楽しむ。3回目だがここはいつもすごく楽しい。

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関越トンネルの換気口を過ぎると、大釜を持つ2条のトイ状滝に出会う。非常に深くて印象的な緑色の釜である。この日は水も温くて水遊びに精が出る沢日和だったので、この釜で飛び込んだり潜水したりして1時間くらい遊んでいた。宙返りで飛び込んでいたら胃の内容物がシェイクされ、しばらく吐き気を催していた。やったことないけどバリウム飲んでジャイロ回転させられるアレの気分はきっとこんな感じなのだろう。

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さらに進むと谷は一層明るくなり、この谷のハイライトともいえそうな岩盤と清流の織り成す美しい景観が続く区間に入る。行く先には青空と入道雲。思わず「夏だなあ!」と叫んでしまう。

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遊びに遊びダラダラと歩き、ようやく一ノ滝に到着。こんなにデカかったかなと少しビビる。5年前は右壁(Ⅳ+)を登った。左壁には3つほど残置支点があるそうなので、今回は左壁を登る。ちなみに右壁には残置はなかったと思う。

自分がリードで取り付くが、中段くらいの位置で一ヶ所手も足も悪いところがあり(ここがⅣ)、フリクションだけを信じて登る。あとはⅢ+程度で問題なし。フェルトの仲間は上部のツルツルで少し苦労していたが。

なお、後続が支点回収の際に間違えて残置ハーケンも回収しようとしてハンマーで叩いたところ、ボロリと折れてしまった。既に朽ちて支点としての役目は終えていたんだなと思うが、今後左壁を登攀する方はご留意ください。

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一ノ滝を登り終えるとすぐオタキノ沢に出合う。そして間もなく核心の20mトイ状滝にぶつかる。下から見上げるとなんかフリーで行けそうじゃねと思えたのでフリーで取り付くが、3分の1くらい登ったところで行き詰まり、そこからロープを出す。ホールドもスタンスもいい感じのものがなく、おまけにヌメるのでたわしで擦りながら攀じ登った。この滝もⅣ級。

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20mを登るとすぐさま10m。その上はCS3段15m、さらに13mナメ滝と続く。ここは10m滝から左岸の草付きをトラバースして全部巻いた。

巻き終えて水線に戻ると、カール状の谷底が地平の果てまで続いていて、それはそれは良い眺めとなる。スラブを快適に登っていくと、コロッセオ状の50m滝に辿り着いた。

それにしても見所が尽きない沢である。見所が尽きないというか、ずっと見所と言っても過言ではなく、逆に見飽きそうなくらい常にハイライト状態が続く見事な沢だ。

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CS3段15mとその上の様子


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巻き終えたところ


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50mコロッセオ

 

さて、コロッセオを好きなように登ると、いよいよ沢も終盤に差し掛かる。沢は行き止まりのように見える大岩壁の左の隙間に入り、やがて水が枯れ、藪の間に細々と続くようになる。最終的にはちょっと藪漕ぎをして茂倉新道に転がり出た。

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コロッセオを好き勝手に登る


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奥壁を左に入る


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藪を漕いで


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茂倉新道に出た

 

茂倉新道、降り始めしばらくは眺望と風が気持ちよく快適だが、樹林帯に入ると根っこ段差系の降りづらい道になる。私はこれ系の下山が大嫌いで、暑くてしんどくて異常に汗をかきながら19時頃登山口に着いた。夕焼けがきれいだった。

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〜感想〜

本谷、井戸小屋沢に続いて3回目の万太郎だが、やはりこの谷は本支流とも秀逸な渓が多く、充実が約束されている。渇水気味だったのでもう少し水が多ければ言うことは何もない。

埋まったと聞いて少し心配していたが、思っていたほど埋まっておらず、美渓は健在だった。

技術的にもそれほど困難ではなく、核心となる一ノ滝とトイ状20mを頑張って登ればその他は快適。最悪一ノ滝は巻けるが20mを巻くのはなかなか面倒くさそうだった。後者はカム(#0.3〜1.0くらいまで)が使えます。

本当に良い沢でした。